教室レポート

庭の作品 その12

熊谷守一先生の生き方を見てきましたが、真に自由に生きることは難しく、まずは欲を抱かずまた周りからの干渉を避けなければなりません。今日自然に任せた生き方はなかなか出来るものではありません。

さて、今回の作品は毎日朝日が当たってはいるのですが、作品として日の目は見ていません。何かの公募展に応募したのですが、落選して戻ってからは2003年に『花天領』というイベントでパーツを花器として使って頂いた以外展示される機会がなかったのです。高さが2メートルを超え、公募展では大きさの制限がある場合もありますが、この時は高さについては制限がなかったのかもしれません。四つのパーツでできていて、庭に置いているのは一番下の部分です。全体像は2枚目の写真を見て頂ければわかると思いますが、焼き上がった時に倉敷アイビースクエアの工房前で撮影しました。これ以降一体にしていませんので貴重な写真です。この作品以外この手のものは制作していないと思うのですが、この頃何を考えていたのか手助けとなるスケッチがありました。(写真3枚目) 土に単一の行為を繰り返す ことで何が表現できるのかということで①土を削り取るという行為で何が可能か②土を延ばすという行為で何が可能かを考えていたみたいです。②については大皿で実行していて、お話しする機会があるかもしれません。今日は①についてなのですが、単純に削った作業だけではないのです。スケッチ帳の別の場所にもこのスケッチに似た形の絵があり、ここでは、「人間をも含む大宇宙の表現」と記され、実現することのなかった「第二の大地」というタイトルの作品の横に「天と地」というタイトルが付けられていて物語りがあるようです。そうしてみると、2枚目の写真の作品最上段部分は単に削ったのではなく、丸い実のようなものがついています。この作品は行為としては削っているのですが、イメージがあって「生命の樹」のようなことを考えていたのかもしれません。「ジャックと豆の木」の豆の木もそのようなものかもしれませんが、ものすごい生命力があって天にも届くほどで、目に見えないエネルギーを感じます。